腕・手・肘の痛み～代表的な疾患～

へバーデン結節

へバーデン結節は、第一関節に痛みがあり、関節の背（手の甲の側）に結節というコブが出来る症状です。1本の指だけでなく、複数の指に症状が現れることが特徴で、痛みや腫れにより指を使った動きがしづらくなります。

はっきりとした原因はわかっていない症状ですが、症状の特徴から変形性関節症の一種とされ、加齢や指の酷使によることが原因と考えられており、40歳以上の女性に多い傾向があります。

主な症状

• 手の第一関節に痛みがある
• 手の第一関節に赤み・腫れがある
• 痛みのためものを強く握れない

母指CM関節症

母指CM関節症は、親指の付け根にある、「CM関節」という関節にある軟骨がすり減り、ものを掴む・握るという動作をした時に痛みや骨の変形が生じる疾患です。こちらも、特に40〜70歳くらいの女性が圧倒的に多い症状になっております。進行すると、強い痛みが出るようになります。

主な症状

• 親指を使ってものを掴んだりする時に痛みがある
• 親指の関節が動きにくく、親指の付け根が膨らんでいたり、曲がっていたりする

テニス肘（上腕骨外側上顆炎）

上腕骨外側上顆炎は、テニスのストローク時などに使う筋肉に繰り返し負荷がかかることで痛みなどの症状が現れる疾患です。
テニスをされる方に多くみられることから、テニス肘と呼ばれていますが、テニスに限らず、重いフライパンを振る料理人などにもみられます。

肘の外側から上腕にかけて痛みが現れ、手首を伸ばした時に痛みが出ますが、手首を曲げてもあまり痛みが現れないのが特徴です。

主な症状

• 肘の外側から上腕にかけて痛みが生じる
• タオルを絞る時に痛みが出る
• テニスのバックハンド時に痛みが生じる
• 痛みだけでなく、疼きやしびれを感じることもある

など

野球肘

投球動作を繰り返し行うことで、肘に過度な負担がかかり肘の内側に痛みを感じるようになる疾患です。
内側以外にも外側、後方にも痛みが現れる場合があり、それぞれで病態は異なります。

内側型

肘関節が外反ストレスを受け続け、尺側側副靭帯が緩み不安定になった状態です。

外側型

肘の外側の上腕骨側の軟骨と骨が剥がれてしまった状態です。

後方型

上腕骨後方にある肘頭窩に過度な負担がかかることで、疲労骨折や骨棘形成が起こった状態です。

肘部管症候群

肘部管症候群とは、肘の内側を通る尺骨（しゃっこつ）神経が圧迫されることで、指（薬指・小指）がしびれたり、手が動かしにくくなったりする疾患です。
尺骨神経が圧迫される原因として、変形性関節症による骨棘形成、骨折後の肘の変形、肘部管内のガングリオン（良性のできもの）などが挙げられます。

主な症状

• 指（薬指・小指）がしびれる
• 手が動かしにくくなる
• 前腕から手指にかけて痛む・しびれる
• 握力が弱くなる

など

変形性肘関節症

スポーツ時の動作などで膝関節の軟骨がすり減ったり、骨が変形したりして痛みが生じるようになる疾患です。
過去の骨折や脱臼、野球肘（外側型）、関節炎などが原因で起こります。

肘を動かすと痛みが強くなり、安静にすると軽くなるという特徴があり、肘の可動域が制限されたり、ロッキング（ある角度で動かなくなって固まった状態）したりすることがあります。

主な症状

• 肘を動かすと痛む
• 肘が動かしにくくなる
• 肘に引っかかりがある
• 肘が固まって、動かそうとする激痛が走る

など

手根管症候群

手根管症候群とは、手の平にある手根管という神経が圧迫されることで手指の痛み・しびれが起こる疾患です。
中年以降の女性に多くみられます。
手の使い過ぎ、骨折や腫瘍による圧迫などが原因として挙げられますが、はっきり原因がわからないことも少なくありません。

主な症状

• 手指が痛む・しびれる（特に親指、人差し指、中指）
• 親指に力が入らない
• 手指を使った細かい作業がしにくくなる
• 朝起きた時、痛みがひどくなる
• 夜間、痛みやしびれで目が覚めることがある

など

ばね指（弾発指）

弾発指とは手の使い過ぎによって起こる“指の腱鞘炎”で、指の曲げ伸ばしを頻繁に行うことで屈筋腱が腫れ、屈筋腱が通る腱鞘の内腔が狭くなり、スムーズに通れなくなって起こります。

進行すると指が曲がったまま戻らなくなり、無理に戻そうとするとバネのような動きをみせることからばね指と呼ばれています。

主な症状

• 指がスムーズに動かせない
• 指を曲げ伸ばしする時に引っかかりがある
• 指が曲がったまま戻らない
• 曲がった指を無理に戻すと、ばねのように跳ねて戻る

など